CT検査について
CT検査では、身体のまわり360°からX線を照射してコンピュータで画像を作成します。
レントゲン検査とは異なり、高速回転による断層撮影を行うため、短時間で病変の部位や形状等に関する詳細を把握することができます。また、レントゲン検査の約10倍の診断精度があります。当院では、日立の16列マルチスライスCT「Supria」を導入しました。
レントゲン検査や超音波検査と比べて
・レントゲン検査や超音波検査ではわかりにくい部位の病変も撮影ができます。
・構造が複雑な部位やリンパ節などの小さな臓器を含めた、全体像が把握できます。
・病変とその周辺の臓器や血管との関係性を把握できます。
・3D画像を構築できますので、飼い主様にも病気の状況を立体的にイメージしてもらうことができます。
外科治療におけるメリット
・病気を早期発見することができます。
・レントゲン検査や超音波検査では把握できない腫瘍の転移を確認できます。
・手術が適応となるか否かを、より明確に判断できます。
・試験的に開腹することなく、状態の把握ができます。
・手術前に全身の臓器の把握を行うことができるため、手術時間の短縮や正確な手術ができます。
CT検査が有効な病気
CT検査で分かる異常は多岐にわたります。脳・肺・腹部臓器・骨などにおいて、 腫瘍の浸潤範囲や転移の確認などに威力を発揮します。
腫瘍以外でも、その他の検査で原因のはっきりしない胸腔・腹腔内の異常、 手術前の精密検査(骨折・消化管内異物など)、呼吸器症状、顔面の腫脹、意識障害、四肢麻痺などの際にCTが有用です。
頭部
- 水頭症
- 外耳炎・中耳炎
- 歯科疾患
- 腫瘍(脳・鼻腔・口腔・眼窩)
- 骨折
- 脳障害
- 意識障害
- 顔面の腫れ
胸部
- 腫瘍(肺・腫瘍の肺転移)
- 肺葉捻転
- 気管虚脱
- 骨折
脊椎・脊髄
- 椎間板ヘルニア
- 腫瘍
- 骨折
腹部
- 腫瘍(肝臓・腎臓・脾臓・膵臓・副腎・膀胱・腸・リンパ節)
- 門脈シャント
- 結石(腎臓・膀胱・尿管)
- 腸閉塞・重積
- 捻転(胃・腸・脾臓)
- 異物
- 骨折
全身麻酔の必要性
動物のCT検査は全身麻酔をかける必要があります。検査には10~20分程度かかりますが、その間動物はじっと出来ませんし、 呼吸を止めることも出来ないからです。また、検査の目的によって造影剤を使用する場合があります。造影剤を使用することにより血管や病変が鮮明になり、より正確な診断が可能となります。
そのため、検査前日の21時以降の絶食と、当日の朝以降の絶水をお願いします。また、麻酔前検査として一般身体検査、血液検査、レントゲン検査を実施します。検査当日は午前10時までにご来院いただくようにお願いします。
結果報告
検査結果は、お迎えの際に簡易な報告をし、数日~1週間程度で詳しい検査結果を説明いたします。かかりつけの病院から紹介いただいた場合は、その後の治療に関しては、かかりつけの病院で継続していただくようお願いしております。
費用
単純撮影法 | 約40,000円(税別) |
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+造影検査 | +5,000円(税別) |
※麻酔前検査(血液検査、レントゲン検査)、全身麻酔(~5kg)の費用を含みます。
5kgを超える動物の麻酔料、造影料、その他の検査、治療には別途費用を頂きます。
検査の流れ
1、検査実施日の予約
当院に通院中の飼い主様は、当院でご予約をお取りいたします。
他院に通院中の飼い主様は、かかりつけ病院の担当獣医師からご紹介いただき、ご予約をお取りいたします。
2、絶水・絶食
検査前日は21時までにお食事を済ませて、以降は絶食してください。
お水は検査当日の朝から抜いてください。
3、検査当日
10時までにご来院下さい。
麻酔前検査(一般身体検査、血液検査、レントゲン検査)を実施します。
午前の診察時間が終わってから、全身麻酔をかけ、CT検査を行います。
4、お迎え
当日の午後の診察時間にお迎えにお越しください。
5、検査結果
お迎えの際に簡易な報告をし、後日、詳しく検査結果を説明いたします。
※かかりつけの病院がある方に関しましては、担当獣医師と連携をとり、CT前の状態の把握、CT検査、結果の報告、治療を行っていきます。検査後の治療に関しては、かかりつけの病院で行ってもらうようお願いしております。