腫瘍について

わんちゃん猫ちゃんの平均寿命は、近年非常に延びており、小型犬で15歳、大型犬でも13歳、室内飼いの猫ちゃんでは16歳という調査もあります。そうした中で、慢性腎不全、慢性心不全、慢性関節炎、ホルモン疾患など高齢化に関連する病気が非常に多くなっています。その中でも悪性腫瘍(いわゆる癌)の発生率は年々増えてきており、現在ではわんちゃん猫ちゃんの死因のトップになっています。

腫瘍のサイン

腫瘍は目に見え、触れる部分(皮膚・乳腺・口の中など)にできるものと、目に見えない部分(お腹の中や骨など)にできるものの2通りに分かれます。
・皮膚やお口の中などに腫瘤(できもの、しこり、膨らみ)ができている
・呼吸が荒い、お腹が膨らんでいる、なんとなく元気や食欲がない、熱がある
といった症状が腫瘍の症状になります。
やはり、目に見えない部分の腫瘍では特徴的な症状が出てこず、進行して初めて症状に気づくということも多くなります。

腫瘍の分類

大きく分けると、良性腫瘍と悪性腫瘍(いわゆる癌)に分かれます。
良性腫瘍は大きくなり方が比較的緩やかで、転移などを起こすことはありません。
一方悪性腫瘍は、腫瘍の種類によっては一気に大きくなって進行し、転移や局所の浸潤により、命を脅かすものになります。 大きくなり方が緩やかで、いわゆるいぼのような形をしたものは良性のものが多いですが、これらの区別は検査をしてみないとわかりません。

腫瘍の治療法

リンパ腫や白血病など、全身にできるものやしこりを作らないタイプのものを除き、外科手術で切除できるものは切除してしまうのが一番いい治療法になります。ただし、腫瘍の種類や場所、大きさによっては完全切除ができないこともあり、その場合は補助的に抗がん剤や放射線療法を行うこともあります。また、全身麻酔をしないでも可能なレーザーによる切除や温熱療法を当院でも取り入れており、腫瘍の種類や場所、大きさなどによってはレーザー治療も可能になります。
リンパ腫や白血病などの腫瘍では抗がん剤が第一選択の治療になります。
たとえ悪性のものでも、早期発見早期治療を行うことができれば、完治できる腫瘍は多いです。特に高齢の子(6歳以上)では腫瘍の発生率は上がりますので、何か腫瘍を疑うような症状が見られた場合には早めの受診をお勧めします。
当院では、腫瘍を含めた病気の早期発見のために、わんにゃんドッグ(人間ドッグの動物病院版)を実施しています。血液検査やレントゲン、超音波検査で隠れた腫瘍の早期発見ができることもあります。かわいい家族の病気の早期発見早期治療のために、わんにゃんドッグを一度受けられてはいかがでしょうか?

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